果樹茶業研究部門

果樹の災害対策集

4.防風林の植栽、維持管理および更新のポイントを教えてほしい

1) 防風林の植栽

防風林を設置する予定地の地表面を整理し、健全な苗木を準備する。植え付けは生育期に入る前が良く、春植えが一般的である。三角形植え(千鳥植え)が多い。また、枯死などにより欠株ができると補植や改植を行う必要がある。密閉度を適正にするために剪定などの管理を行う。樹種としてはイタリアポプラ、ハンノキ、カラマツ、ヒノキなどがある。

2) 既存林の利用

防風林を育成する場合に既存林の除去や補植により一部または全部を利用すると、現植生を利用したことになり、効率的に防風林を育成できる。

3) 防風林の維持管理

防風林が植栽された後は、潅水、除草、薬剤散布、施肥、剪定などの管理を行いながら育成していく。台風シーズンに理想的な密閉度(70~80%)にするために剪定を4月頃に行い、密閉度を50%くらいに整理しておく。また、強風・潮風・寒風により防風林の育成が阻害される場合には、保護育成のための短期的な防風ネットや防風垣などの防風施設が必要となる。

人工の防風施設(防風ネット)の場合には、ネットは使用しないときには可能な限り取り外し、収納しておく。ネットの取り付け部分には力がかかるので、適正な取り付け金具を利用し、支柱とネットが接触するところが錆びたり、表面が滑らかでない場合はネットが破れやすいので注意する。支柱の基部は錆びたり腐食したりしやすいので防錆に注意が必要である。実際、防風ネットが基部の部分から倒壊する事例が多かった。

4) 防風施設の更新

防風林の場合には、母樹から落下した種子による天然更新と、植栽により更新する人工更新がある。防風垣やネットは設定条件や保護対象領域が変更した時、あるいは耐用年数を越えたり気象災害で破損した時に更新する必要がある。