果樹茶業研究部門

果樹の災害対策集

6.被害樹の翌年の土壌・肥培管理はどのようにしたらよいか

被害の程度を(1)倒伏はしなかったが葉の損傷や枝の折損により樹勢の衰弱した樹、(2)倒伏して立て直した樹、および(3)完全に倒伏し、立て直し不可能な樹に分けて、それらに対する対策を考える必要がある。

葉の落下または損傷した樹では、葉の蒸散流、光合成能力など生理的な活性が低下すると考えられ、そのための貯蔵養分の減少が危惧される。このため、花芽が弱くなり、翌春の結実が劣ることが予想される。その対策として、人工授粉などによる結実確保に 努めることが大切になる。貯蔵養分減少に対する対策としては、施肥量は慣行どおり、早期に施用し、とくに樹勢が弱い場合には尿素の葉面散布を行うとさらに効果的である。

倒伏して立て直した樹は回復程度に差があるが、これは貯蔵養分の減少、断根による養分吸収力の低下などによる樹勢の差によると考えられる。樹勢低下に対しては、(1)施肥は出来るだけ早期に行い、(2)衰弱の激しい場合には尿素の葉面散布を実施し、(3)稲わらや堆肥によるマルチにより乾燥防止および地力増進を図る。さらに、(4)乾燥が続く場合には潅水するなど、樹勢回復を主眼として行う。しかし、枝の折損が大きい樹は、強剪定の場合と同じ影響がでるので、折損程度に応じて施肥量を減すことが必要となる。

完全に倒伏し、立て直しが不可能な樹は抜根し、補植や改植を行うことになる。この際に、従来の土壌改良および地力維持に留意し、改植障害などへの対策も進めておくことが得策である。