果樹茶業研究部門

果樹の災害対策集

11.主幹や主枝が裂けた樹、あるいは主枝や結果枝が折れた樹の処置は、どのようにしたらよいか

一度倒伏した木は断根、落葉などの大きな損傷を受けているので、翌年の生育は劣る可能性がある。翌年の生育をみながら、衰弱しているようであれば着果させないで、樹体の回復を優先させる。

主幹や主枝が裂けたもののうち軽度のものは補強し、翌年の生産に役立てる。補強の方法は、下側から支柱で支え、裂開箇所はかすがいや縄などで固定する。また、適宜枝を切り落として枝を軽くする。主幹や主枝で折れたものや裂開の程度が激しく回復見込みがないものは、翌年に枯死したり、腐らん病、木材腐朽菌の病巣となるので、早めに切断して切口には有機銅塗布剤(商品名,バッチレート)、チオファネートメチル塗布剤(商品名,トップジンMペースト)などの腐らん病防止薬剤を塗布する。

主枝や亜主枝から伸びた結果枝のうち折れたものは切り落とす。翌年は枝が不足するので、新梢を残し結果枝を育てる。傷みがひどく更新が必要な枝は基部から代わりの枝を育て徐々に更新する。折れた主枝を切断することは、強度の剪定を行ったのと同じで、1樹当たりの花芽数は減少する。翌年の果実生産を減らさないためには、花芽の数を十分確保する必要があり、冬期の剪定を軽くし、小枝や花芽は多く残す。