果樹茶業研究部門

果樹の災害対策集

12.倒伏したわい化樹の早期回復技術について教えてほしい

トレリスごと倒伏した場合には、再度建て直す時に十分な基礎工事が必要になる。親柱支柱の地下部をコンクリートベースにするか、鋼管の短いものを十字に組んで溶接するなど、種々の固定資材がある。張線を張り直し、両端の親柱に樹列に直角に支線を張りアンカーを入れる。また、トレリスの列と列の間を補強パイプなどで結束することは、強風に対する耐性を強化するために有効である。

倒伏樹を立て直すときは倒伏方向反対側の根を切らないように注意する。無理に起こすと倒伏側が断根したり、樹皮が剥げたりする。立て直し後に土盛りあるいは堆肥資材などのマルチを行うことは、新根の発生を促進するために有効である。倒伏樹の被害程度は、根の損傷や枝の傷み具合いによって異なる。マルバ台の成木では、紋羽病(白、紫)などで根の傷んでいる樹が多く倒されたが、わい性台樹では、根が脆弱で折れやすいことや根量が少なく根群分布域も狭いことなどの理由で、多くの倒木がみられた。完全に根が浮き上がって倒伏した樹は回復不可能である。回復が期待できるものは、少なくとも根が1/2以上残っているものに限る。しかも、この場合も翌年の着果量をかなり制限する必要がある。なお、10年以上のわい性台樹については、かなりの根量が残っているものに限って回復策を講じる。倒木の立て直しはなるべく早めに行い、支柱を立てて補強する。肥料はすぐに施さず、春に樹勢をみながら施肥する。樹勢の早期回復のためには、剪定量や着果の程度を樹勢の強弱に応じて加減する必要がある。