果樹茶業研究部門

果樹の災害対策集

13.強風による落葉の影響とその改善対策、および著しい落葉による休眠枝の一部催芽現象に対する措置を教えてほしい

強い落葉による悪影響として考えられることは、被害当年の光合成産物の低下、残った果実の着色の不良、翌年に使用する花芽の分化率と質の低下などである。当年の対策としては、残った葉を健全に維持する必要がある。花芽分化に対する影響は、品種によって差があるものの、9月末でほぼ50%の落葉程度であれば心配はない。その根拠としては、斑点落葉病により9月末までに70%程度の落葉があった‘スターキング’でも、翌年の花芽不足までには到らないこと、強風による落葉の場合には葉齢の古い果そう葉や新梢基部葉から順に被害を受けて、若くて頂芽に近い葉ほど落葉しにくいことなどがあげられる。ただし、潮風害の場合には、部位による耐塩性の違いから、強風害の場合とは逆に若い葉ほど落葉しやすい。

生育期に多くの葉、特に果そう葉が落ちた場合に、一部の頂花芽が発育を始める不時開花は普通に見られる現象である。一般に芽の休眠は9~11月に向けて深くなることから、さらに再発芽することはない。そのため、他の休眠芽がある限り、頂芽の再発生率が50%以上でないかぎり特別の措置は不要である。