果樹茶業研究部門

果樹の災害対策集

15.樹体損傷が著しい場合の病害に対する抵抗性低下が心配されるので、今後の防除対策を教えてほしい。また、翌年の害虫発生などへの影響はどのように考えたらよいか

問題は腐らん病で、台風で生じた傷がいつまで感染可能かということで対応も異なるが、付傷試験によると、秋期の傷口は感染可能期間が長いことが分かっている。すなわち、収穫後の果台部と同様に、台風で生じた傷口も腐らん病の進入門戸となり得ることから、収穫後の防除剤散布を徹底したい。さらに、被害樹ではすでにかなりの腐らん病菌が侵入したと考えられるので、今後1~2年間は腐らん病の検診を強化し、早期発見、早期治療を行うことが必要である。また、年明けのせん定後の休眠期散布を確実に実施する必要がある。

モモシンクイガによる被害果は収穫期に選別・処分されるため、圃場に発生源として残ることは少ないが、台風による落果が多く、その埋没処理が遅れると、この間に幼虫が成熟し地中に入るため、翌年の発生源が増加する危険性がある。

M系台木などによるわい化樹が損傷により衰弱すると、翌春キクイムシ類が寄生する恐れがある。特に‘王林’、‘千秋’では注意する。ただし、被害は開花前後に始まり急激に進展するので、多発後は手の打ちようがなくなる。軽度の発生の場合は、樹勢の回復につれて被害は終息する。他方、食葉性の害虫は、台風通過時にはすでに活動末期となっている場合が多いので、翌年の発生には大きな影響がないと考えられる。