果樹茶業研究部門

果樹の災害対策集

5.寒冷紗の色や目合いの違いによって防寒効果に差異があるか

被覆資材の防寒効果は、保温性(内から外に熱を逃がさない性質)と断熱性(外からの熱を内へ伝えない性質)に左右される。保温性は、資材の長波(赤外域)放射に対する特性によるので、資材が同じなら色の違いによる差異はない。しかし、資材の色が異なると日射に対する断熱性に差異が生じる。資材の色が白い方が、光反射率が高く、断熱性が大きく、日中の被覆内部の温度上昇は少ないため、温度の日較差が小さい。

また、寒冷紗のような織物資材では、色以外に目合いの大きさが遮光率に大きく影響する。目合いが大きく日射が透過しやすい資材では、日中の樹体温度が上昇して夜間との温度較差が大きいため、樹体の耐寒性を低下させることになる。

従って、寒冷紗による防寒対策には、白色で目合いが適度に小さい被覆資材を用いるのが望ましい。その場合、目合いが小さすぎると、葉面への到達日射量が減少して光合成を阻害すること、風圧が増大して破れやすくなることなども勘案して決める必要がある。目合いの大きさ(密度;1インチ当たりの糸の本数)は、一般に#100~120程度がよく使用される。