果樹茶業研究部門

果樹の災害対策集

9.被害樹に対する肥料、堆肥などの施用方法はどうしたらよいか

潮風害で落葉した木の細根は、落葉程度に応じて活性が低下しており、落葉の著しい木では腐敗枯死も多く認められる。このような木に多量の施肥を行っても、肥料成分が根から吸収されないだけでなく、肥焼け(濃度障害)で被害を助長する可能性がある。そこで、被害樹の秋肥施用は、被害程度(細根の傷み具合など)に応じて減肥あるいは中止した方が良い。用いる肥料も、速効性の化成肥料や単肥は避けて、緩効性の有機配合や有機質肥料(油粕、魚粕など)を用いるほうが良い。もし、速効性肥料を用いる場合には、2~3回に分けて施用する。

また、落葉で低下した細根の活性を高めるためには、有機物を施用して根圏環境の改善を図る必要があるが、深耕を伴う一般的な土壌改良では残った細根も切ってしまうことになるので、表面施用に止める方が無難である。表面施用でも、表層土壌の乾燥防止や冬期の地温低下を軽減する効果は大きく、細根の回復効果は十分に期待できる。なお、落葉した樹の細根は活性が低下しているので、施用する有機物資材は有害物質の少ない完熟堆肥を用いる。