果樹茶業研究部門

果樹の災害対策集

16.ハウスミカンにおける台風対策の要点を教えてほしい

ハウスミカンの台風対策に対する考え方は、被害の発生時期が果実収穫の前後で大きく異なる。収穫前の着果している時期であれば、雨水浸入に伴う糖度低下を避ける意味で、強風によるハウス倒壊の危険がない範囲でできるだけ被覆資材を残したい。そこで、事前対策として、台風情報に注意しながら必要に応じて、控えアンカーの増設、ハウスバンドの締め直し、換気扇の作動(ビニールをパイプに密着)などを行って、強風害の防止に努める。ただし、風が強すぎて施設本体に被害が生じそうな場合には、ハウスバンドと被覆ビニールを切断して、骨組みの保護を優先する。

ハウスに被害が生じた場合には、予め補修資材を準備しておいて、早急に再被覆して糖度の低下、裂果の発生などを最小限に抑える。園内に入った雨水は、排水溝を掘って園外に流すとともに、敷き藁などを除去して土壌の乾燥を促す。また、浮皮果の発生を防止するため、換気扇を作動させてハウス内の湿度低下を図る。さらに、カメムシ、褐色腐敗病、青かび、緑かび、水腐れなどの防除対策を徹底する。

台風の襲来が収穫後の場合には、ハウスの倒壊防止を第一に考えて事前に被覆ビニールを除去しておく。雨水浸入で秋芽の発生が予測される場合は、必要に応じて新梢伸長抑制剤を散布する。夏枝利用型のハウスミカンでは、風傷によるかいよう病が発生しやすいので、早めにストレプトマイシン剤の散布を行う。