果樹茶業研究部門

果樹の災害対策集

17.潮風害による落葉は、ポンカン果実のす上がりを増加させるのか

中晩生カンキツでは成熟した果実をそのまま樹上にならせておくと、果肉組織が水分を失ってす上がり現象を起こす。ポンカン・サンボウカン・ナツダイダイなどで多く発生する。鹿児島県果樹試験場では、す上がりの発生に関与する要因を調査するため、成熟前期摘葉処理を行ったが、無処理区との間に有意差は認められなかった。一方、屋久島のポンカン栽培地域では、台風で落葉した樹です上がり現象がみられるといわれている。また、1965年頃に作成されたポンカンの災害対策のしおりには、風害・潮風害などによる落葉とその後の二次生長はす上がりを助長するので、風害から園を守るように記載されている。

しかし、す上がりの発生原因については不明な点が多く、これまでの調査事例も少ないため、現時点で落葉の多少とす上がり発生との因果関係を論ずることは困難である。