果樹茶業研究部門

果樹の災害対策集

18.マ-コットでは、糖・酸度で収穫期を決定していたが、今年のように台風で落葉のあった場合には、その基準をどうしたらよいのか

被害樹の収穫時期を決定するに当たっては、果実の商品性とともに樹勢の回復、翌年の着果確保などを考慮に入れる必要がある。樹勢回復の意味では、より早い時期に収穫することが望ましいが、商品性の面からは樹上におき、ある程度以上の品質を確保する必要がある。今回のような事例は過去にないので、今後の果実品質の推移は通常年の調査値から推測するしかないが、長崎県果樹試験場のウンシュウミカンの成績では糖度は10月下旬から11月下旬に約2度、11月下旬から1月下旬に約2度増加しており、酸含量は10月下旬から11月下旬に約 0.8%、11月下旬以降に1か月当たり約 0.2%の割合で減少している。被害樹ではウンシュウミカンの例からみて増糖・減酸速度ともに低下すると考えられるので、落葉程度に応じてこれらの数値は小さくなると思われる。商品として維持すべき品質水準と前記の数値を勘案しながら、定期的に品質調査を行って収穫時期を判定するのがよいと思われる。ただ、着果確保のため4月上旬には開花させる必要があり、これから逆算して加温開始時期は2月20日前後になることから、収穫終了時期は2月中旬までに限定される。

なお、落葉被害は樹冠上部で著しい傾向がみられ、ほとんど落葉したような部位の果実を残しておいても販売可能な品質水準に達する見込みはないので、着果負担軽減の意味から思い切って摘果した方がよいと思われる。