果樹茶業研究部門

果樹の災害対策集

4.被害樹のせん定はどうすればよいか

台風による落葉とその後の再発芽のため、結果母枝の充実が悪いと考えられる。ブドウのQ2でも述べたように、結果母枝の充実不良は冬季における枝の枯れ込み、冬芽の枯死による翌春の発芽率の低下、着房数の減少、花穂の小型化などを引き起こす。特に影響の大きいのが花穂の大きさである。ブドウの花芽は前年の5~6月に分化するが、その後の年内の発育は少なく、4~5月になって貯蔵養分によって急速に発育するからである。

従って、被害樹のせん定は、発芽率を高めてできるだけ発育の良い花穂を確保することに重点をおく。すなわち、なるべく充実の良い部分を残すようにしながら、切り返しは平年よりもやや強くし、結果母枝数は多めに残す。短梢せん定の場合は1~3芽の充実した芽で切り返す。また、大枝に含まれている貯蔵養分を有効に利用するため、追出し枝の切除や側枝などの更新は見合わせるのが良い。せん定時期は、せん定後の枝の枯れ込みを軽減するため、開始は平年よりもやや遅くするが、樹液の流動開始以前に確実に終えるようにする。