果樹茶業研究部門

果樹の災害対策集

5.被害樹の翌年の管理はどうすればよいか

開花期前までの新梢の伸長と花穂の発育は貯蔵養分によって行われるので、ブドウのQ2でも触れたように、貯蔵養分の少ない場合には新梢と花穂の発育が劣ることになる。1991年の台風19号による被害園では、翌年の新梢の伸長停止が早く、花穂の小さい傾向がみられた。従って、芽かきと摘房を早めに行って、貯蔵養分の浪費を防ぐことが大切である。新梢の伸びが悪く、葉色が薄い場合には、液肥などの葉面散布を行って樹勢回復を図るのも良い。特に早期加温園では、発芽後の葉面散布を1週間間隔で2~4回行うのが有効である。着果量は、樹勢をみながら平年よりも少なめとし、高品質果実の生産に努めたい。反面、発芽数が少なく、あるいは着花の少ない場合には、新梢の伸びが旺盛になるので、新梢はきちんと誘引し、ねん枝や摘心を加えて伸びを抑制する必要がある。また、病害虫には十分に注意し、適期防除によって葉を保護して樹勢回復に努めることが大切である。