果樹茶業研究部門

果樹の災害対策集

2.被害樹の施肥管理はどうすればよいか

台風被害の地下部に及ぼす影響は、倒伏による断根および強風・潮風による落葉に起因する細根活性の低下や根腐れが考えられる。このため、台風被害後の施肥管理は、台風の時期、被害の程度および台風から施肥までの期間を考慮して行う必要がある。

被害樹は、被害程度に応じて細根が減少しているので、通常の施肥を行うと吸収効率が悪いばかりでなく、濃度障害(肥負け)によって細根を傷めることも予想される。従って、被害程度に応じて施肥量を削減するか、分施を行う。

春肥については、被害の甚しい樹では、施肥量の半量を数回に分けて施用する。被害中の樹では、施肥量はそのままで分施を行う。なお、被害が甚(70%以上の落葉)および中(30~70%の落葉)の樹とも、落葉後に発生した新梢の充実を図るため、窒素を主体とした葉面散布を行う。被害の軽(30%以上の落葉)微な樹には、基準どおりの施肥を行う。

台風被害の発生が、夏季(秋肥施用前)であれば秋肥の中止も考えられるが、細根活動が9月頃から始まることを考えると、新根の発生伸長を妨げない(濃度障害を起こさない)程度の施肥は、被害回復を早めるものと思われる。