果樹茶業研究部門

果樹の災害対策集

6.台風を受けて落葉した晩生種では、その後の果実肥大は期待できるか

果実発育の初期は、細胞分裂が盛んに行われ、細胞数が増加する。その後は個々の細胞の肥大により果実肥大が起きる。細胞分裂の停止時期は早生種では開花後23~25日、中生種では26~28日、晩生種では35~40日後である。開花期が4月上旬から下旬にかけてであるとすると、4月下旬から6月上旬頃に細胞分裂が終了し、その後、個々の細胞が肥大して果実は大きくなる。正常に果実が肥大するためには1果あたり20~30葉必要であり、それよりも少ない葉数になると果実肥大は抑制される。

台風が9月中旬に来襲したとすると、晩生種ではすでに8~9割の大きさに達している。そこで、落葉程度が少なければ果実は大きくなり、品質も多少向上するが、落葉が甚だしいと果実肥大は停止し、果実の品質向上はあまり期待できないが、多少甘くなる可能性もある。