果樹茶業研究部門

果樹の災害対策集

7.未熟果を貯蔵した場合、果実品質(特に甘味)は向上するのかどうか

佐賀県果樹試験場の高柳ら(1982)は、‘幸水’および‘豊水’について、収穫時期の地色を、良(カラーチャート 5.5)、中(同 3.4)、不良(同 2.8)とし、コンテナに入れて室温で放置した場合、‘幸水’の着色不良果では、収穫時の食味には未熟感があったが、5日後には未熟感がなくなって食味は良好となった。しかし、糖度や果肉硬度には変化がなかった。10日経過した果実は、収穫時の着色不良果でも糖度は 0.7程度上昇したが、過熟感があって食味は不良となった。

同様な調査を‘豊水’で行った場合は、着色不良果では5日後には糖度が 1.2度上昇して食味は良好になったが、10日後には更に糖度が 0.3度上昇したものの食味に過熟感が出て品質は不良になった。

このように、品種によって異なるが、地色がカラーチャートで2程度のかなり未熟果では、蒸散によって果実が収縮し、水分が減少した分だけ内容が濃厚になる程度である。少なくとも、中・晩生品種では、地色が 2.5以上のやや未熟果でなければ、貯蔵による品質向上は望めないと考えられる。