果樹茶業研究部門

果樹の災害対策集

1.落葉した場合、果実の軟化への影響はどうか

果実や果梗に傷がある場合は、とくに軟化が進むため、傷果を十分に選別して出荷することが必要である。また、落葉した場合、果実に傷がなくても、葉がなくなることによって日持ち性が低下する。落葉の程度が大きいほど、この傾向は強い。早生品種ほど、この軟化が起こりやすく、樹上軟化が生じるとともに、収穫期に外見が正常であっても、その後の日持ちの悪い果実が多く生じる。この軟化傾向は晩生になるほど軽い。なお、へた枯れが起こっても、日持ちに大きな影響はない。

1991年9月末の台風19号による被害では、早生の‘伊豆’、‘松本早生富有’は軟化程度が大きく、樹上軟化も多く生じ、収穫できた果実も日持ち性が低下した。‘西村早生’や‘刀根早生’も日持ち性が不良となり、流通過程で問題が生じた例が多い。しかし、晩生の‘富有’や、11月に収穫される‘平核無’では、その影響が少なかった。新潟県園芸試験場による‘平核無’の調査では、落葉が甚だしい樹の果実は、軽微な樹に比較して平均4日程度軟化が早くなるとともに、日持ちにばらつきが生じて早く軟化する果実が混ざったことが報告されている。