果樹茶業研究部門

果樹の災害対策集

1.地上部が強風害を受けたとき、根はどのような影響を受けるか

樹体が根元で折れた場合と、2本主枝の一方が折れた場合の、被害後約2カ月目に細根の呼吸活性を比較すると、被害の大きい方が呼吸量は少なかった。しかし、翌年初夏の比較では被害程度間の差異は有意ではなかった(奈良県、1998年)。一方、落葉被害程度別に冬季から春季の細根の呼吸活性を比較すると‘刀根早生’では12月には落葉程度が大きいものほど呼吸活性は低かった。しかし、3月になると落葉程度による差異はあまりみられなくなってきている(図4)。従って、これらのことから地上部の被害はその年の細根には反映するが翌年の新しい根の活性にはほとんど影響しないと考えられる。これは樹体の回復のための養水分吸収にとって有利であると考えられる。

 

図4 カキ‘刀根早生’における摘葉処理が細根のCO2排出量に及ぼす影響(和歌山県、1998年)
図4 カキ‘刀根早生’における摘葉処理が細根のCO2排出量に及ぼす影響(和歌山県、1998年)