果樹茶業研究部門

果樹の災害対策集

2.落葉や枝折れなどの被害樹では、光合成産物の転流・分配が変化することが考えられるが、その変化について教えてほしい

落葉程度30%、70%樹と落葉程度70%で枝折れ樹の3種類について光合成産物の転流動態を調べた結果、全光合成産物量に対する器官別の分配割合は被害程度が大きくなるほど地下部、葉での比率が低くなった。器官別の乾物量は被害が大きくなるほど地上部では葉が、地下部では中根、細根の量および比率が小さくなった(図5)。地上部の被害が大きくなると地下部への転流・分配が阻害され地下部での分配率が低くなることが伺えた。従って、被害樹の翌年の回復のためには地下部への光合成産物の移行を促進させる方策が重要となってくる。そのためには被害の大きかった樹体では最も大きなシンク器官である果実の量を大幅に減らして果実以外のシンク器官での光合成産物の集積増大を行うことで樹体の回復を図る必要がある。

 

図5 カキ樹における被害程度別器官別乾物重(奈良県、1998年)
図5 カキ樹における被害程度別器官別乾物重(奈良県、1998年)