果樹茶業研究部門

果樹の災害対策集

3.被害葉は健全葉に比べて、どの程度の光合成能力を維持しているか

‘刀根早生’を用いて強風被害を再現し、葉身の1/3切除、2/3切除および健全葉を作って光合成速度を比較した結果、これらの葉色と光合成速度とは正の相関が見られ、葉色の濃いほど光合成速度は高かった。しかし、切除程度と光合成速度の間には有意な差異はみられなかった(奈良県、1998年)。また、単位葉面積当たりの乾物重と光合成速度との間にも有意な差はみられていない。

強風によって葉が物理的なちぎれなどにより一部失われても、残った部分の中肋や葉脈が切断されていなければ養水分の葉への補給は続いており、残った葉の光合成速度は健全に保たれる。しかし、葉が強風で折れ曲がったりして中肋や葉脈が切断されていれば、ちぎれなくても水分の移動が止まり、葉は生理活性をしだいに失ってしまう。従って、被害後に葉がどれだけ残っているかということが光合成量を決定するが、同時に葉脈などの切断の有無が被害葉の光合成活性を左右するといえる。