果樹茶業研究部門

果樹の災害対策集

5.強風被害樹の翌年の生育はどうなるか

落葉の甚だしい樹は、貯蔵養分の不足から、発芽の遅れ、部分的な不発芽、枝の枯死、開花数の減少が見られることがある。落葉程度が異なる樹体の、翌年の発芽期から開花期までの生育を調査した結果、落葉程度の強い樹体では発芽、展葉、開花が遅れる傾向が認められた。新梢生育や結果母枝当たりの新梢数には落葉程度の影響はみられなかったが、結果母枝当たりの着蕾数や1蕾重が減少し、葉色や葉面積が減少する傾向がみられた(表4)。こうした結果は、果実肥大にも影響することが考えられる。
樹体被害が太枝以上の部位に及ぶ時には、翌年の新梢伸長や着花量が減少する場合がある。

表4.カキ‘上西早生’の樹体被害が翌年に及ぼす影響(奈良県、1998年)