果樹茶業研究部門

果樹の災害対策集

1.台風に強いカキの仕立て法および日頃の管理はどのように心がければよいか

基本的には風を受けにくい樹形、風を受けても樹体が大きく揺れないような仕立て方がよい。棚栽培は樹高が低く樹冠が平面になっているので、横からの風に対しては風を受ける面積が少なくなる。また、他の方向からの風に対しても枝が棚に結束されているので、耐風性が大きくなる。実際、台風時に慣行の開心自然形仕立てに比べて、棚栽培や低面ネットでは被害が少ないことが実証された(表8)。枝を支柱などに結束することにより棚栽培並に樹高を下げている園も被害はわずかであった。このように、倒伏した樹は幹周が小さく、太い枝の折れた樹は主枝分岐角度が小さく車枝が多い傾向がある(表9)。幹周が小さいということは根の張りが少ないということで、土作りなどが十分に行われていなかったことも一因と考えられる。また、主枝分岐角度が狭いことや車枝が多いということは、樹の骨格ができあがる幼木期に適切な整枝剪定、誘引等の管理が十分に行われなかったためである。コスカシバなどの被害程度が大きい樹は、そこから枝が裂けたり折れたりしやすくなり、台風に強い園にするには日常の栽培管理・害虫防除の励行が大切である。

慣行の開心自然形仕立て、変則主幹形仕立て樹については、主枝、亜主枝の分岐部を車枝や狭い角度であると裂けやすいので、幼木時の剪定に留意して、主枝の発生位置、角度を広め(60~70度)にとるようにする。また、倒伏や枝裂けが予想される部位はしっかりした支柱を立て誘引する。

 

表8.仕立て方法と被害、表9.被害様相と樹体の特徴の関係