果樹茶業研究部門

果樹の災害対策集

2.強風被害が少なかったカキの低面ネット栽培とはどのような栽培法か

体格・性別・年齢に左右されずに病害虫などの観察や管理作業が容易なカキ栽培体系として奈良県果樹振興センターが考案したもので、別名奈良方式低面ネット栽培と呼ばれる。

同栽培法では最大樹高が概ね2m以下と極めて低樹高であること、枝葉がネット面に広がって平面となるために(写真18、19)、風が吹き抜けやすいことなどが耐風性に優れている理由と考えられる。このことは、同じ樹齢の慣行栽培と比較した結果から実証され、奈良方式低面ネット栽培は瞬間最大風速が50m/sを超えるような強風でも実被害は発生しにくいと推察される(表10)。

 

写真18 強風害が少なかった低面ネット栽培
写真18 強風害が少なかった低面ネット栽培
枝梢を支柱とネットに誘引補強し、耐風性を高める。

 

写真19 低面ネット栽培における結実状態
写真19 低面ネット栽培における結実状態
結実面が1m以下にあり、収穫作業等の軽労化が図られている。

 

表10.奈良方式底面ネット栽培および慣行栽培の台風被害(奈良県、1998年)