果樹茶業研究部門

果樹の災害対策集

1.倒伏や主幹部裂けなど比較的大きな被害を受けた樹の樹勢回復法について知りたい

完全に倒伏した樹や折れた枝は、放置すると作業の邪魔になるばかりでなく、キクイムシなど樹幹害虫の餌や越冬場所になるので、早めに取り除く。台風により被害を受けた6年生‘上西早生’の倒伏樹、主幹裂け樹、片主枝折損樹のそれぞれについて、倒伏樹は引き起こして支柱保持し、主幹裂け樹は裂けた部分を縄で結束して翌年の生育を比較すると、これら3種類の形態の被害樹では倒伏樹の回復が早い傾向がみられたが、片主枝折損樹は総新梢長、新梢本数が著しく劣っていた(奈良県、1998年)。

倒伏樹については、後述する対処法が重要であるが、主幹部裂けの被害ではできるだけ早期の対処が重要である。すなわち、被害直後に裂けた部分が乾燥してしまわないようにしながら裂けた部分を引き上げ、支柱、縄、ボルトなどで傷口を合わせて、きつく結束する必要がある。しかし、被害直後のできるだけ早い時期に対処し、しかも動かないようにしっかりと結束しないと傷口の癒合は困難になってくる。もし、時間が経過した場合などは裂けた方の主幹部を切り落とし、癒合剤を塗布する。場合によっては、接木で欠損した樹冠部位の補填を行う必要がある。枝折損被害樹についても同様に傷口を滑らかにし、癒合剤を塗布して、接木で枝を補うなどの対処を行う。