果樹茶業研究部門

果樹の災害対策集

2.樹体損傷樹に対する施肥はどのようにすればよいか

樹体が9月に被害を受けた場合の細根の呼吸活性を調べると、年内は被害が大きいほど根の活性が低下している。しかし、翌年の春には、ほぼ無被害樹と同じ呼吸活性を示すようになる(奈良県、1998年)。従って、被害後の施肥(秋肥)は、多用しても樹体の吸肥力は低下しており、また、落葉被害が大きい場合も吸肥力は低いため、肥料を多用しても根からの吸収は期待できない。むしろ流亡量が多くなる可能性が高いので、被害程度に応じて減肥するほうが良い。肥料の種類は肥焼けを防ぐためには緩効性肥料が良いが、貯蔵養分の減少に対応するために速効性肥料の少量分施と併用する。細根の活性は翌年には回復すると思われるが、葉色の明らかに劣るものは液肥の葉面散布を行う。なお、秋冬季、春季にかかわらず、土壌が乾燥しないよう十分留意する必要がある。地下部の活性化のために有機肥料の施用も有効であると考えられるが、根を切断する恐れのある深耕は避けて施用する。