秋期におけるカメムシ類の果樹園への飛来は、カメムシ類の発生量に比べ、餌であるスギ・ヒノキの球果量が少ないことが基本的な要因とされている。
台風は、強風によりカメムシ類を山林から強制的に離脱させるほか、スギ・ヒノキの球果の脱落や倒木を引き起こして餌不足を招き、結果的に果樹園への飛来を増加させる。
たとえば、和歌山県のカキ産地では、1998年の台風通過後に7カ所の予察灯のうち1カ所で誘殺数が増加した(図9)。この台風により県内のスギ・ヒノキ林で倒木の被害が大きかったことから、一部の園でカメムシ類の飛来数が増加し、カキ果実への被害の増加につながったと考えられる。
図9 予察灯におけるカメムシ類の誘殺消長(和歌山県、1998年)
点線:チャバネアオカメムシ
実線:ツヤアオカメムシ