果樹茶業研究部門

果樹の災害対策集

3.未熟落果リンゴ果実をすき込んだ場合、その腐熟過程で生育を阻害するような物質の生成が起こるか否か、また、生育阻害物質が生成した場合の対策について教えてほしい

未熟落果リンゴ果実すき込み前の1998年10月28日とリンゴすき込み後の11月11日(14日後)、12月7日(40日後)、12月25日(58日後)、1999年1月26日(90日後)、3月5日(128日後)、4月1日(155日後)に採土した土壌にコマツナをは種し生育を調査した。

未熟落果リンゴ果実のすき込み量が3.5kg/m2程度以下であれば、石灰窒素の添加の有無に関わらずコマツナの生育は阻害されなかった。しかし、未熟落果リンゴ果実をもっと多量にすき込む場合には(ここでは7kg/m2すき込んでみた)、C/N比が15となるように石灰窒素を添加しないと生育が不良となり、生育を阻害する何らかの要因が発生すると考えられた(図11)。

しかし、3.5kg/m2という量はリンゴの平均収量のおよそ1.5倍であり、実際には落果した果実を全てすき込んでも生育を阻害するようなことはなく、実用的には問題がないものと判断される。

図11.リンゴ‘ふじ’をすき込んだ土壌でのコマツナの生育(無処理を100とする)