果樹茶業研究部門

果樹の災害対策集

2.被害当年の葉面散布の効果について教えてほしい

落葉程度が甚だしい場合は、根の活力が低下するとともに、貯蔵養分が減少し、樹勢が低下する恐れがある。被害当年の‘富有’と‘刀根早生’で、落葉率が50%の樹に尿素500倍液を10月に3回散布しても、SPADでみた葉色値は必ずしも改善されなかった(奈良県、1998年)。

これまでのデータでは、開花前の尿素の葉面散布は、葉色や果実肥大促進に効果があるというものもあるが、被害樹への葉面散布による樹勢回復効果は、樹種や散布時期、剤の種類や濃度、貯蔵養分あるいは根の状態などにより異なると考えられる。地温が15℃以上で、根の活性が維持されている時には、葉面散布とともに根からの吸収を図った方が効果が期待できる。従って、葉面散布のみではなく、葉面と土壌への液肥散布により樹体全体からの窒素吸収の促進を図る。