果樹茶業研究部門

果樹の災害対策集

1991年の台風19号は風台風といわれ、リンゴなど果樹に大きな被害をもたらしたが、この台風も台風7号と同じメカニズムで強風が吹き荒れたのか

19号は中心気圧が戦後4番目に低い強い台風であった。また、7号と同様に、台風の典型的構造をほぼ保った状態で上陸し、移動速度も速かった。これらの点では、19号と7号とは共通性がある(ついでながら、この点は1998年の18号についても基本的に同様と考えられる)。また、19号の場合にも7号と同様、中心の後面(南西~西側)数10~100kmに、上空の乾燥空気侵入に関連すると思われる「強雨・低温を伴う強風域」が存在し、九州北部に強風をもたらした。

しかし、青森周辺のリンゴ被害などをもたらした北日本の強風は、中心から200kmぐらい離れたところで吹いたものであり、台風としてはかなり特異である。19号は日本海を北上するうちに変形が進み、中心付近の広い範囲に弱風域ができた。しかし、その周辺部には暴風域があって、それが青森付近にかかったものである。このように強風の範囲が周辺部に移る傾向は、最盛期を過ぎた台風にはときどき見られることであるが、19号の場合にはそれが顕著であった。