果樹茶業研究部門

果樹の災害対策集

1.カキ栽培における防風施設の効果と設置方法について教えてほしい

台風時の強風害に対しての防風垣や防風樹の効果は大きく、台風7号の場合においても、防風樹が倒れても作物の被害が最小限にとどまった事例もみられた。

防風施設としては、防風樹(垣)または防風ネットの設置が考えられる。台風時の強風を対象とすると、地域や地形によって風向きが違うが、防風施設は、一般的には風上に設置する必要がある。

防風施設は、風下方向で高さの8~10倍の距離まで、風の強度低減効果があるとされている。そのため、平坦地のカキ園では、施設の高さの10倍ごとの設置が標準で、傾斜地では、さらに間隔を狭める必要がある。急傾斜地の場合、2列目の防風施設は、1列目の施設高を傾斜方向に水平延長した線より少し低い位置にするのが望ましい。傾斜地のカキ園で、防風樹を設置する場合には、樹種の条件として、(1) 常緑樹で根が深く倒伏しにくい、(2) 生長が早く、枝梢の再生が早い。早期から防風効果が得られる、(3) 横根が張らず、カキとの養分競合が少ない、(4) 病虫害に強く、カキとの共通病害がないなどで、マキ、ネズミモチなどは適した樹種といえる。

一方、平坦地などで、防風ネットを設置するには、高さ約5mとして、少なくとも最大瞬間風速で30m/sに耐える強度に設計する必要がある。

なお、防風樹に近接するカキ樹は、陰になりやすく、着色が遅延したり、作業性も悪いので、防風樹とカキ樹の間は、作業道に利用するつもりで予め広めにとっておくのが良い。