果樹茶業研究部門

果樹の災害対策集

4.物質生産力の低下を避けるための防風施設について教えてほしい

防風林、防風網といった防風施設は落果や樹体損傷防止策として設置されるが、このような大被害をもたらす数十年に一度という猛烈な台風に直撃を受ける確率が低いことが、普及のためのネックとなっている場合がある。そこで、防風網など防風施設の設置を推進すべく、頻繁に遭遇する並みの強さに分類される台風(最大風速25m/s以上33m/s未満)の影響を避ける効果から防風施設を見直したい。

葉の損傷を避け物質生産力を維持し、翌年への影響を抑えるには果樹園内の最大風速を20m/s以下にすべきである。並みの強さの台風が直撃することを想定すると風速を60%以下に下げる必要がある。防風林の防風効果は、主に防風林の高さ、防風林からの距離および防風林の密度に依存する。最適密度(60~70%)の防風林の場合、風速を60%に下げる範囲は防風林の高さの10倍までである。従って、樹高4mの防風林であれば防風林からの距離40mまでが風速が60%以下となる範囲である。

防風網も網高、網からの距離および網の密閉度によって防風効果が決まる。110番寒冷紗(密閉度50.2%)の場合、網高の35倍程度、PEラッセル網18G(密閉度73.9%)では網高の23倍程度までが風速が60%以下となる保護範囲となる。従って、網高2mとすれば110番寒冷紗なら70m、PEラッセル網18Gなら46mまでが保護される。