果樹茶業研究部門

果樹の災害対策集

2.被災した果樹施設の構造特性について知りたい

APハウスと、屋根を平らにした平張りハウスの2種類の被災ハウス22棟について調査した。いずれも果樹栽培用のハウスで、連棟数は6~12、棟高は5.5~6.5mであった。

被災状況は、ハウスの一部が被災したものからほぼ全面倒壊したものまであり、ハウスによって被災箇所も様々であった。主要な被災個所として、柱と梁の接合部を挙げることができる。接合部には直交クランプや、添接板をボルトで締め付けるタイプのものを始めとする様々なジョイント材が使用されていた。この中で直交クランプのピンのせん断破壊(写真15)、ボルトで締め付けるタイプにおけるボルトの破断などが生じていた(写真16)。

また、基礎の被害も多く、転倒あるいは完全に抜け出してしまった基礎が多く認められた(写真17)。このような接合部や基礎で破壊を生じているハウスでは、骨組み材の極端な変形は認められなかった。ハウスの骨組み構造全体の強度を考慮に入れた上で、接合部と基礎を強化することが、ハウスの耐風性向上に役立つと考えられる。

 

写真15 接合部に用いた直交クランプの破断(農工研、1998年10月)
写真15 接合部に用いた直交クランプの破断(農工研、1998年10月)

 

写真16 ボルトの破断により外れた接合部(農工研、1998年10月)
写真16 ボルトの破断により外れた接合部(農工研、1998年10月)

 

写真17 抜けあがった簡易な基礎(農工研、1998年10月)
写真17 抜けあがった簡易な基礎(農工研、1998年10月)