果樹茶業研究部門

果樹の災害対策集

4.脆弱な接合部と柱基礎を持つハウスに対する耐風性向上の考え方について知りたい

接合部と基礎が被害を受けないようにするには、それら自体の強度を増加させる方法の他に、そもそも、その部位に過大な曲げモーメントが作用しないような構造上の補強を施す方法が挙げられる。

間口6.0m、軒高さ2.5m、棟高さ4.5m、鉄骨柱の間隔3.0mで風速30m/sを想定した解析の結果によると、1m程度の方杖を隅角部に取り付けるか、あるいは斜材を入れることが耐風性の向上に効果的である(図13)。これらの方法により、接合部に生じる曲げモーメントや基礎に生じる引き抜き力を、かなりの割合で減少させることが可能である。事実、方杖により補強したハウスでは被災を免れた例が散見できた(写真21)。

ハウスに作用する風圧は、周辺の地形や建築物の配置によって大きく異なる。ハウスの耐風性向上のためには、骨組み材自体の強度増加には限界があり、接合部や基礎の補強、防風林など設置場所に応じた広い視野での対策を考える必要がある。

 

図13 ハウスの耐風性向上のための方杖および斜材の取り付け部(農工研、1998年)
図13 ハウスの耐風性向上のための方杖および斜材の取り付け部(農工研、1998年)

 

写真21 方杖により補強した接合部は被災を免れた(農工研、1998年10月)
写真21 方杖により補強した接合部は被災を免れた(農工研、1998年10月)