果樹茶業研究部門

果樹の災害対策集

2.台風などにより倒伏した場合、断根によって地上部と根とのバランスが崩れるために、剪定によって地上部を軽くすることが必要な措置とされているが、このような措置はカキの場合にも当てはまるか

倒伏樹を引き起こした後、剪定程度を慣行剪定と強剪定を行い、翌年の生育を倒伏被害のない対照樹と比較した試験によると、発芽期および満開期への影響はみられず、平均新梢長は剪定程度では差異が見られなかった。また、結果母枝頂芽の新梢、着蕾、葉面積を比較すると新梢長は対照樹と比べ倒伏樹が低下するが、倒伏樹の剪定程度による差異はみられなかった。しかし、葉面積は倒伏樹強剪定では対照樹と同じほどに拡大し、葉色も良くなる傾向がみられた(和歌山県、1998年)。

倒伏被害による断根が生じた場合、地下部の減少程度に対して地上部割合が大きいと、根の貯蔵養分が減少している上、地上部の養水分要求に地下部の機能が追いつけず、翌年の新梢生育不良などにつながると考えられる。葉面積の大きさは樹勢を判断する場合の指標の一つでもあり、強剪定によって葉面積が拡大することは翌年の樹勢が出てきたためと考えられ、断根被害がみられた樹体では強めの剪定が必要と判断される。