研究活動報告

令和6年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰創意工夫功労者賞受賞(水稲湛水直播機)

情報公開日:2024年6月 7日 (金曜日)

受賞年月日

令和6年4月15日

受賞者

加藤 一秋
(本部 管理本部 技術支援部 東北技術支援センター 東北第1業務科 総括作業長)

五月女 忠洋
(本部 管理本部 技術支援部 東北技術支援センター 東北第2業務科 技術主任)

受賞業績

「公道走行を可能とする水稲湛水直播機の改良」
(実施部署:東北第3業務科)

業績の概要

農研機構では水稲直播栽培技術研究の一環として、「水稲無コーティング種子の代かき同時浅層土中播種栽培」(愛称:かん湛!) の技術開発、普及活動に取り組んできました。
「かん湛!」は代かきハローと播種機を一体としてトラクタへ装着し、代かきと無コーティング種子の播種を同時に行う技術です。共同研究を進めてきた企業より作業幅2.2~2.6mの代かきハローに対応した2連構造の機種がすでに販売されています。
試験研究の段階では作業効率向上のために3mを超える3連構造の機種も開発していましたが、トラクタ装着時の公道走行に特殊車両通行許可を得る必要があることが課題となっていました。トラクタに装着した状態での公道走行を考えると、既存の機種も含めて作業機幅2.5mを超える機種では行政手続きが煩雑になります。また、運搬用のトラックに積載するとしても、そのルールや標準的に使用されているトラックの荷台幅を考えると問題が残っていました。
これらの課題を解決するために「かん湛!」を担当していた研究者と協力して、ベースとなる代かきハローを折りたたみ式に変更した上で播種機部分の全幅も容易に伸縮できるように、各部のスライド化や回動化、脱着方式等の改良を行いました(特願2022-029349、特開2023-125326)。これにより、道路交通法上の行政手続きが不要で、かつ、容易にトラックへ積載することが可能となりました。
本業績によって、更なる作業効率の向上が課題となっていた「かん湛!」の普及拡大が期待できます。