賞の名称
日本食品工学会 第24回年次大会 優秀発表賞
授賞者
一般社団法人 日本食品工学会
受賞対象
農産物由来の3Dプリント食品における複合構造がテクスチャーに与える影響の解析
受賞者
農研機構食品研究部門 食品加工・素材研究領域 食品加工グループ
主任研究員 神津 博幸
研究員 梅田 拓洋
上級研究員 小林 功
受賞日
2023年8月28日
賞の概要
3Dフードプリンティングは、食品を三次元的に成形する技術です。食材の空間配置を自在に設計できるため、テクスチャーの高度制御が期待できます。本研究では、農産物加工品であるきな粉およびキャベツ粉のペーストを複合させた3Dプリント食品を作製しました。きな粉はタンパク質含量が高い食材ですが、ペーストの焼成物は硬くなってしまいます。一方、キャベツ粉は食物繊維が豊富であり、ペーストの焼成物が軟らかい素材です。そこで、きな粉ペーストに部分的にキャベツ粉ペーストを複合させることで、高タンパク質かつ軟らかい3Dプリント食品の作製を試みました。
研究の結果、複数種の複合構造を有する3Dプリント食品を、比較的安定的に印刷および焼成することができました。また、3Dプリント食品の複合構造の違いがテクスチャーに影響を与えることが明らかになりました。一部の複合構造では、きな粉ペーストとキャベツ粉ペーストの組成は同じにも関わらず、硬さを低減できる可能性が示唆されました。以上の成果は、タンパク質含量を高く維持しつつ軟らかい食品の作製に繋がる基礎的知見になり、高齢者向け食品等への応用が期待されます。