生物機能利用研究部門の職員が以下のとおり受賞しましたのでお知らせいたします。
受賞者
岩瀬 勝則 課長(株式会社デンソー マテリアル研究部 マテリアル研究戦略課)、
糠塚 明 課長(株式会社デンソー マテリアル研究部 CE革新課)、
亀田 恒徳 グループ長(絹糸昆虫高度利用研究領域 新素材開発グループ)、
田 雅茜(絹糸昆虫高度利用研究領域 新素材開発グループ)
受賞業績
シルク-ポリプロピレン複合材における水の貯蔵庫としてのシルクの役割
受賞概要
環境問題が世界的に深刻化する中、石油由来の汎用樹脂の一部を天然由来材料へ置き換えることは、自動車産業においても喫緊の課題となっている。しかし、汎用樹脂と天然物は必ずしも相性が良いとは言えず、樹脂の一部を天然物に置換することは容易ではなかった。とりわけ、自動車産業で最も多用される樹脂であるポリプロピレンにおいて、その一部を天然物であるシルクに置き換えることができれば有用であるが、剪断したシルク繊維をそのままポリプロピレンと混合しても均一に分散しないという課題が存在していた。本研究では、混練・射出成形時の温度を特定の範囲に制御することで、シルク側鎖の水酸基を脱水熱分解させ、そこで発生する水分子を利用してシルクをポリプロピレン中に均一分散させることに成功した。本論文は、この技術を科学的データに基づき学術的にまとめたものであり、シルクの現象理解と新たな活用法が高く評価され、日本シルク学会2025年度の優秀論文賞に選定された。
受賞年月日
令和7年11月29日
いただいた賞状
授与後の様子(左から亀田グループ長、デンソー・岩瀬氏、信州大学・玉田 シルク学会長、田)