受賞年月日
- 2022(令和4年)年11月25日
熊本県立大学(熊本県熊本市)・オンラインハイブリッド開催
業績
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イチゴ果実の痩果深度に及ぼす硬度の影響
受賞者
- 農業・食品産業技術総合研究機構西日本農業研究センター 中山間畑作園芸研究領域
- 園芸作栽培・畑作物育種グループ 遠藤(飛川) みのり
研究の概要
イチゴ果実の痩果深度、すなわち花托(以下、果実)表面に存在する痩果(種)がどの程度埋まっているかは、果実外観や食感、流通適性に影響する重要形質です。一方、痩果深度には遺伝的要因や栽培条件などが関与するようですが、痩果が果皮に埋まる、あるいは浮き出る直接の原因は分かっていません。そこで、イチゴ3品種を交配した実生集団を用いて、果実硬度と痩果深度との関係性を解析し、痩果深度が深いあるいは浅い果実における果実の硬さの特徴を探りました。
イチゴ果実は、主に果皮、果肉、髄部の3部位に分けられます。解析の結果、痩果深度は果皮と果肉の物性の差異とよく関係し、果皮硬度と果肉硬度の差や比が大きい場合、つまり果皮に対し果肉が軟らかい場合に浅くなることが示されました。通常、痩果は、果実が成熟する過程で果皮、果肉細胞の肥大に伴って包容され、埋もれた外観となると考えられます。果皮、果肉の物性のバランスが細胞の肥大程度に関与し、包容の程度に影響を及ぼしている可能性があります。
イチゴの痩果深度に関する研究は多くありません。本研究で得られた知見をもとに、イチゴの痩果深度を適切に制御する技術の開発が進むことが期待されます。
美味技術学会第22回例会賞 |