受賞年月日
- 2024年(令和6年)3月28日
業績
- 品種および播種期の違いがダイズの乾物動態と収量形成に及ぼす影響の解析
受賞者
- 農業・食品産業技術総合研究機構西日本農業研究センター 中山間営農研究領域 (現本部企画戦略本部)
川崎 洋平
研究の概要
ダイズは重要な食用、飼料、油料作物であるにも関わらず、日本におけるダイズの単位面積当たりの収量は低迷しており、多収化の方策が求められています。そこで単収が年々増加傾向にある米国と日本の栽培品種の違いに着目し、日射エネルギー利用と乾物分配の観点から連絡試験を通じて調査を行いました。その結果、日本と米国双方において米国品種は日本品種と比較して多収を示し、品種の収量性に違いがあることを明らかにしました。さらに、生育後半の乾物生産と乾物分配の面において日本品種は遺伝的改良の余地が大きいことを明らかにしました。
また、国内で単収が特に停滞している温暖地におけるダイズの湿害回避に向けて梅雨明け後の晩播栽培に着目し、標播との播種時期の違いが乾物生産・分配および収量に及ぼす影響の解明に取り組みました。晩播栽培では、生育初期から受光量を確保できる密植が有効であることを、日射エネルギー利用の観点から示しました。さらに、ダイズの熟期に関係する遺伝子型の違いが収量形成過程に及ぼす影響の解明に取り組み、晩播栽培に適した遺伝子型を明らかにしました。
これらの一連の成果は、品種および栽培管理技術の両面から国内のダイズの生産性向上への重要な知見となります。