温室の冷暖房に使えるラジエーター式放熱装置つくり方マニュアル
要約
自動車部品のラジエーターと空調用のダクトファンを利用して、温室の冷暖房に使える放熱装置を材料費12万円程度で自作するための工作方法をとりまとめたマニュアルである。この放熱装置に温水を通し送風することで温室内を暖房でき、冷水を通して送風すれば冷房できる。
- キーワード:施設園芸、温室冷暖房、放熱装置、ラジエーター、熱交換
- 担当:中央農業研究センター・地域戦略部・事業化推進室
- 代表連絡先:電話 029-838-8877
- 分類:普及成果情報
背景・ねらい
施設園芸用の温室の暖房に用いられる暖房機は、燃焼熱を温風として吹き出させ暖房する直接暖房方式が主流である。一方、ボイラーで温めた温水を温風に変換して暖房するような間接暖房方式は、暖房出力の調整が容易で変動の小さい温度制御ができることや、貯湯式とすることで昼間にボイラーで温水を作り夜間はボイラーの火を落とし暖房できるといった優位点がある。温水を温風に変換し温室内を暖房する装置は、市販品があるものの使用現場に合わせた特注品となるため価格が数十万円以上と高価であり、放熱装置を用いた温室の暖房方式はあまり普及していない。そこで、多数生産され流通している規格品の自動車部品であるラジエーターを流用し、比較的安価に、特別な工作技術を持たずとも簡単に放熱装置を作る方法を考案し、マニュアルとしてとりまとめ公開する。
成果の内容・特徴
- 本マニュアルでは、施設園芸用の温室を冷暖房する放熱装置を、特別な工作技術を持たずとも簡単に作るための方法を紹介している(図1、図2)。
- この放熱装置は、ラジエーターに温水または冷水を通し、ファンで送風することで温風または冷風に変換し、温室内を冷暖房する仕組みである。ファンのon/offで出力を容易に制御できるほか、コンパクトで可搬式であることから温室内の任意の場所に設置できる利点がある。
- 自動車部品のラジエーターと空調用のダクトファンを利用して、材料費12万円程度で作ることができる。
- 本マニュアルでは木材を用いて作る方法を主に紹介(図3)しているが、より耐久性のあるステンレスなどの金属で作る方法も紹介(図4)しており、作り手の工作の熟練度や使用する道具などに応じて材料を選べる。
- 本マニュアルは、農研機構のウェブサイトからPDFをダウンロードできる。
普及のための参考情報
- 普及対象:施設園芸生産者
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:全国、のべダウンロード数2746件(2019年1月~11月)
- その他:暖房能力は温水温度60°Cで20kW、80°Cで25kW程度である。台数を増減させることで冷暖房能力を調節でき、2a程度の温室に2台が設置台数の目安である。
具体的データ

その他
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2017~2018年度
- 研究担当者:竹倉憲弘、金井源太、山下善道
- 発表論文等: