アルファルファ品種「ウシモスキー」のチモシー混播時における適正播種量

要約

アルファルファ品種「ウシモスキー」をチモシーと混播する場合、0.3 kg/10aで他のアルファルファ品種の標準播種量が0.5kg/10aの場合と同程度の合計乾物収量とマメ科率が確保できることから、播種量を4割減じることができる。

  • キーワード:アルファルファ、混播、播種量、マメ科率、チモシー
  • 担当:北海道農業研究センター・作物開発研究領域・飼料作物育種グループ
  • 代表連絡先:電話 011-857-9263
  • 分類:研究成果情報

背景・ねらい

アルファルファはタンパク含量が多く高栄養のマメ科牧草であり、北海道におけるアルファルファ栽培面積は、2000年の約8千haから現在では約5万haへと急増している。北海道ではイネ科牧草とマメ科牧草の混播栽培が一般的であるが、主要なイネ科牧草であるチモシーとアルファルファの組合せで混播栽培した場合、アルファルファの競合力が強いため、チモシーを抑圧する傾向がある。アルファルファの安定栽培のため、耐倒伏性の改善と病害抵抗性に強く多収な「ウシモスキー」を育成したが、生育特性が改善されたこともあり、主要流通品種の「ハルワカバ」をはじめとしたこれまでの品種よりもチモシーに対する競合力が強くなっているため、混播栽培時の適正播種量を明らかにすることが求められている。

成果の内容・特徴

  • チモシーとアルファルファの合計乾物収量は、網走内陸部(ホクレン、訓子府町)では「ハルワカバ」の0.5kg/10a播種区(標準区)と「ウシモスキー」の0.5kg/10a播種区、0.3 kg/10a播種区は同程度であり、根釧(根釧農試、中標津町)では0.5kg/10a播種区、0.3 kg/10a播種区とも標準区比106と多収である。「ウシモスキー」の0.15 kg/10a播種区では標準区より1割程度低い(表1)。
  • マメ科率は網走内陸部、根釧とも「ウシモスキー」0.5kg/10a播種区で標準区よりも高く、「ウシモスキー」0.3 kg/10a播種区と標準区はほぼ同程度である。「ウシモスキー」0.15 kg/10a播種区では標準区より低い(図1)。
  • チモシーとの混播栽培の際には、現在標準とされる「ハルワカバ」0.5kg/10aと同等の乾物収量とマメ科率を保つには「ウシモスキー」の播種量は0.3kg/10aで十分であるため、播種量を4割減じることができる。

成果の活用面・留意点

  • 本試験の成果はチモシーとの混播栽培が主体である道東地域を代表する2ヶ所での春播種での成績である。
  • 北海道草地の基幹草種であるチモシーとの混播栽培において、適正なマメ科率と安定した収量の維持が可能になる。
  • 本成果を品種普及のために活用する。「ウシモスキー」の品種特性は(多収でそばかす病に強く、耐倒伏性に優れるアルファルファ品種「ウシモスキー」)を参照のこと。
  • 「ウシモスキー」の種子は2017年度よりホクレンから市販される。

具体的データ

表1 3ヶ年のアルファルファとチモシーの合計乾物収量(kg/10a)?図1 マメ科率の推移(括弧内の数値は標準区と差の全データ平均)

その他

  • 予算区分:交付金、委託プロ(自給飼料プロ)
  • 研究期間:2014~2016年度
  • 研究担当者:廣井清貞、奥村健治、佐藤広子、牧野司(根釧農試)、安達美江子(ホクレン)、竹田芳彦(ホクレン)
  • 発表論文等:廣井ら「ウシモスキー」品種登録第26124号(2017年8月7日)