過去値と9日先までの予報値を含む1kmメッシュ積雪情報

要約

農研機構メッシュ農業気象データシステムにおいて、積雪深、積雪水量、日降雪水量の過去値および9日先までの予報値を、国土数値情報3次メッシュ(約1km×1km)フォーマットで、日単位で提供する。

  • キーワード:積雪深、積雪水量、降雪水量、メッシュ気象、気象予報
  • 担当:北海道農業研究センター・大規模畑作研究領域・気象情報利用グループ
  • 代表連絡先:電話011-857-9212
  • 分類:普及成果情報

背景・ねらい

積雪は、耕起や施肥等の消雪後の圃場作業の制限要因であり、多量の場合は農作物の越冬条件の悪化やパイプハウス等農業施設の倒壊などの被害をもたらすことがある。また、北海道東部においては土壌凍結深制御により野良イモ防除や土壌理化学性の改善等を実施しており、積雪(消雪)は冬から春にかけての農作業の時期や効果を判断するための重要な情報である。しかし、積雪深を観測している気象庁アメダス観測点は全国で約320点しかないため、最寄りの観測点の値を適用すると誤差が大きい。そこで、積雪水量、降雪水量と積雪深について国土数値情報3次メッシュ(約1km×1km)で現況値、9日先までの予報値も出力可能な数値計算モデルを開発し、日々のデータ提供を開始する。

成果の内容・特徴

  • 本積雪情報の現況値(過去値)推定方法は、2014年度研究成果情報「全国農地の1kmメッシュ積雪深分布推定モデル」(http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/harc/2014/harc14_s25.html)のモデルに改良を加えたもので、農研機構メッシュ農業気象データおよびアメダスデータよりメッシュごとの積雪水量分布を計算し、さらに粘性圧縮理論に基づいて積雪深分布を求める(図1)。予報値は、メッシュ農業気象データの気温、降水量予報値より推定する。
  • 過去値(現況値)については、得られたメッシュ積雪深データをアメダス観測値と比較し、誤差を一定のルールで降雪水量と融雪水量とに振り分けるアルゴリズムを用いて補正する。さらに既往の観測結果に基づいて降雪量の標高補正を行う。これらの補正により、地域や標高に関わらず一定の精度での分布推定が可能である(図2)
  • 必要な領域(二次元範囲)と期間を指定して、三次元データとして一括してダウンロードできるので、積算降雪量や消雪日の分布など、ユーザーの目的に応じた指標への加工が可能である(図3)。
  • 気象庁アメダスでは観測されていない積雪水量のメッシュ推定値も得られるので、圃場への融雪水浸透量や農業施設の除雪などの参考情報となる(図4)。

普及のための参考情報

  • 普及対象:普及組織、JA
  • 普及予定地域:北海道、東北、北陸、山陰地方等の積雪地帯。
  • 本積雪情報、ならびに利用方法に関するマニュアル、各種解析・可視化ツール(サンプルプログラム)は、農研機構メッシュ農業気象データシステムより提供される。なお、同システムの利用には申請が必要である。
  • データの提供期間は1981年1月1日より使用日の9日先までである。
  • 吹き溜まりなどの局所的な積雪の偏在には対応していない。また、予報値は気象庁数値予報モデルに基づいているので、予報精度はこれに依存する。
  • プログラムの改良やミスの修正のため、予告なく過去のデータの改変(再計算)を行うことがある。

具体的データ

図1 北海道における積雪深分布の例;図2 本情報の積雪深と実測との比較;図3 本情報の積雪深から求めた消雪日分布;図4 積雪水量の表示例


その他

  • 予算区分:交付金、その他外部資金(SIP)
  • 研究期間:2008~2017年度
  • 研究担当者:小南靖弘、廣田知良、井上聡、大野宏之、下田星児
  • 発表論文等:小南(2017) 職務作成プログラム「積雪の分布を国土数値情報3次メッシュで計算するプログラム」、機構-K14