γ-ポリグルタミン酸高含有納豆の食後血糖値上昇抑制作用

要約

大豆製品である納豆の機能性表示による高付加価値化を目指して、粘りの主成分であるγ-ポリグルタミン酸(γ-PGA)の食後血糖値上昇抑制作用を動物モデル及びヒト介入試験により明らかにして、γ-PGA高含有納豆の健康機能性の科学的根拠とする。

  • キーワード: 納豆、γ-ポリグルタミン酸、機能性表示食品、食後血糖値上昇抑制
  • 担当: 食品研究部門・食品健康機能研究領域・栄養健康機能ユニット
  • 代表連絡先:
  • 分類:普及成果情報

背景・ねらい

国産大豆は、輸入大豆よりも価格が高く、その価格差が国産大豆栽培拡大のネックと考えられる。そのため高価値食品の創出による国産大豆の消費拡大が課題となっており、生産地域のJAや加工品事業者からは、機能性表示による高付加価値化が期待されている。そこで伝統的な大豆加工食品である納豆に特徴的な、粘りの主成分であるγ-ポリグルタミン酸(γ-PGA)の健康機能性の科学的根拠を明らかにして、γ-PGAを高含有する納豆の機能性表示食品としての届出を可能にする。

成果の内容・特徴

  • γ-PGAの健康機能性を明らかにするため、マウスにγ-PGAを0.1%の割合で動物飼育用粉末餌に混餌した餌を与える(γ-PGA群)。対照群には、γ-PGAを含まない動物飼育用粉末餌を与えて飼育する。試験食給餌開始後8週間目に澱粉負荷試験を行うと、γ-PGA(0.8 g/kg体重)と澱粉を投与したγ-PGA群は、澱粉だけを投与した対照群に比べて澱粉投与後15分目の血糖値が有意に低値を示す(P<0.05)(図1)。
  • 成人男女を対象として、市販の納豆に比べてγ-PGAを高含有する納豆(γ-PGA高含有納豆、γ-PGA 439.6 mg/40 g)、またはその1/7以下と、市販の納豆に比べてγ-PGA含量の低いγ-PGA低含有納豆(γ-PGA 57.6 mg/40 g)を白米と同時に摂取して、食後血糖値を測定すると、γ-PGA高含有納豆の摂取が特に食後短時間で血糖値の上昇を抑制する (図2)。
    この結果を科学的根拠として、試験に用いたγ-PGA高含有納豆の機能性表示食品の届出が可能になる。

普及のための参考情報

  • 普及対象:大豆生産者、納豆加工事業者
  • 研究レビューを実施して科学的根拠を示し、γ-PGA含量を分析して1日摂取量を設定すること等により、γ-PGAを機能性関与成分とする納豆の機能性表示が可能になる。

具体的データ

図1 澱粉負荷試験におけるマウスの血糖値変化,図2 食事負荷試験時の血糖上昇曲線下面積(IAUC)*の変化

その他

  • 予算区分:交付金、委託プロ(地域発掘プロ)
  • 研究期間:2016~2020年度
  • 研究担当者:
    田村 基、小堀真珠子、橋本幸一(筑波大)、鈴木浩明(筑波大)、荒木理沙(筑波大、農研機構食品部門)
  • 発表論文等: