L型非定型牛海綿状脳症感染サル由来異常プリオン蛋白質の超高感度検出技術の開発
要約
L型非定型牛海綿状脳症に感染したカニクイザルの異常プリオン蛋白質の高感度増幅法(PMCA法)を確立する。本法により、未発症期のサルの脳脊髄液、唾液および尿から異常プリオン蛋白質を検出できる。
- キーワード:L型非定型牛海綿状脳症、霊長類モデル、脳脊髄液、唾液、尿
- 担当:動物衛生研究部門・越境性感染症領域・プリオン病ユニット
- 代表連絡先:電話 029-838-7937
- 分類:研究成果情報
背景・ねらい
L型非定型牛海綿状脳症プリオンはサル類に経口感染して、プリオン病を引き起こす。ヒトに近縁なサル類を用いた感染モデルは、ヒトへのL型非定型牛海綿状脳症の感染リスク解明や生前・早期診断法の開発とその評価に適している。試験管内増幅法(PMCA)を用いて、L型非定型牛海綿状脳症感染サルに由来する異常プリオン蛋白質(PrPSc)の超高感度検出法を開発し、L型非定型牛海綿状脳症感染サルにおけるPrPScの体液中の動態を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 陰イオン性化合物とともにアルギニンエチルエステルを正常脳乳剤に添加することにより、L型非定型牛海綿状脳症感染サル由来PrPScの超高感度検出法を確立する。
- 脳内接種後、未発症期から2頭のサル(No.22、23)の脳脊髄液からPrPScが検出される(図1)。
- 未発症期から唾液(No.22)及び尿(No.23)からPrPSc が検出される(図1)。
成果の活用面・留意点
- PMCA法により、L型非定型牛海綿状脳症感染サル由来PrPScの検出感度は増幅前と比べて、約1億倍に高感度化される。
- カニクイザルを用いた感染モデルにおけるPrPScの動態解析に本高感度検出法は有用である。
- 本増幅法は、ヒトプリオン病の生前診断法に応用できる可能性がある。
具体的データ

その他
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2014~2016年度
- 研究担当者:村山裕一、小野文子(千葉科学大)、下嵜紀子、柴田宏昭(基盤研)
- 発表論文等:Murayama Y. et al. (2016) Biochem. Biophys. Res. Commun. 470(3):563-568