NAC水和剤処理によるリンゴの落果程度(摘果効果)は、処理した果そうの着果数と果そう葉数、処理後3日間の日最高気温の平均値および満開後3週間から1週間の日射量の影響を受け、これらを変数とする重回帰式により、処理による摘果効果を推定できる。
リンゴにはNAC水和剤が摘果剤として農薬登録されているが、その効果が不安定で予測も難しいことから、利用は限られている。効果が不安定な理由は、薬剤に対するリンゴ樹の反応が、処理時の気象条件や樹体の栄養状態によって異なるためである。これら摘果効果に影響を及ぼす要因を明らかにし、リンゴ樹の状態や処理時期の気象条件から処理の効果が推定できれば、処理の必要性や処理時期の判断の助けとなり、摘果剤の効率的な利用による摘果作業の省力化が期待できる。
そこで本研究では、処理前後の気象要因と樹体の栄養状態を表す指標の中から幼果の落果程度と相関のある要因を探索し、それらを使って摘果効果を推定するモデルを開発する。