花弁が多く大輪の鑑賞用モモ新品種「プードルピンク」、「プードルレッド」、「プードルホワイト」

要約

「プードルピンク」、「プードルレッド」、「プードルホワイト」はいずれも花弁数が60枚以上と多く大輪の花モモ新品種である。

• キーワード:花モモ、新品種、八重咲き、大輪
• 担当:果樹茶業研究部門・品種育成研究領域・核果類育種ユニット
• 代表連絡先:
• 分類:研究成果情報

背景・ねらい

鑑賞用の花モモは食用のモモと同じ種に属するが花や樹形には広い変異がみられる。花は桃色以外にも、白、赤、咲き分けなどの花弁色が知られており、花弁数も単弁一重咲きのほか、八重咲きがあり、その中でも、花弁数が10枚に満たない半八重咲きや花弁数が40枚を超える品種も見られる。
既存の主要な花モモ品種より花が大輪で花弁数が多く、鑑賞価値が高い新品種を育成する。

成果の内容・特徴

• 2007～2008年に農研機構果樹研究所(現 果樹茶業研究部門)において「ほうきもも」自然交雑実生と「菊桃」の交雑実生であるG-107-2を自家受粉して実生を獲得した。2010年度以降、東京農業大学との共同研究とし、東京農業大学隔地圃場(静岡県函南町)において共同で選抜を続けた。2010～2011年に初開花し、花弁数が多く大輪であることが判明した。その後複製および複々製樹を作成し調査を継続したところ、安定して花弁数が多く、花弁の波うちが強く大輪となり鑑賞用として優れた特性を示したことから鑑賞用モモ新品種候補として選抜した。2019年10月23日に品種登録出願し、2020年4月13日に出願公表された。
• 静岡県函南町における開花盛期は4月13～15日で、「照手桃」などよりも遅い(表1)。
• 花の大きさはいずれも46mm以上と大きく、花弁は61～73枚と多い。花弁の長さは22mm程度、幅は14～16mmである。花はボリューム感があり鑑賞価値が高い(表1、図1、2、3)。
• 果実は15～20gと極めて小さく、食味は不良である。

成果の活用面・留意点

• 庭園木として普及が期待される。
• 果実は小さく、食味も不良なため食用にはできない。

具体的データ

その他

• 予算区分:交付金
• 研究期間:2007～2019年度
• 研究担当者:八重垣英明、山口正己(東京農大)、末貞佑子、澤村豊、安達栄介、山根崇嘉、馬場正(東京農大)
• 発表論文等:
  • 八重垣ら「プードルピンク」品種登録出願第34252号(2020年4月13日出願公表)
  • 八重垣ら「プードルレッド」品種登録出願第34253号(2020年4月13日出願公表)
  • 八重垣ら「プードルホワイト」品種登録出願第34254号(2020年4月13日出願公表)