乗用型茶園管理機に搭載する速度連動肥料散布ユニット
要約
開発した速度連動肥料散布ユニットは、肥料繰出し量が作業速度に連動し、単位面積当たり肥料散布量は作業速度の影響を受けない。スクリューフィーダ式肥料繰り出し機構を採用し、スクリュー回転数を作業速度に連動させるため、肥料散布量の調節は高精度にできる。
- キーワード:チャ、施肥機、速度連動機構、乗用型茶園管理機
- 担当:果樹茶業研究部門・茶業研究領域・製茶・土壌肥料ユニット
- 代表連絡先:
- 分類:研究成果情報
背景・ねらい
現在、茶園の施肥作業に用いられている施肥機は、シャッター開度調整方式であるため、繰り出し量の精度が劣り、作業速度の変動の影響を受けるため均一な散布が困難である。施肥設計に基づく過不足のない施肥作業を行うためには、安定的に肥料が繰り出せ、作業速度に影響を受けることなく散布量を均一にすることが求められる。
本研究では乗用型茶園管理機に搭載し、面積当たりの散布量が均一な、精密散布ができる速度連動肥料散布ユニットを開発する。
成果の内容・特徴
- 速度連動肥料散布ユニットは、肥料ホッパ(0.2 m3)、スクリューフィーダ式肥料繰り出し機構、肥料輸送管、肥料噴出部、コントローラで構成され、乗用型茶園管理機の左右クローラ後方から肥料を散布する構造である (図1)。
- 速度連動機構は、作業者が入力する10 a当たり目標散布量、事前に計測したスクリュー1回転当たりの肥料排出量、乗用型茶園管理機の作業速度から、スクリュー回転数を制御する(図2)。
- 作業速度を変えて繰り返し散布した場合、作業距離当たりの散布量の変動係数が2~3%と小さく、散布量は作業速度の影響を受けない(図3)。
- 茶園での施肥作業において、設定散布量に対して89~109%の範囲で散布でき(図4)、有効作業量は0.80~1.13 ha/hである。
成果の活用面・留意点
- 肥料のかさ密度が小さく、単位面積当たりの目標散布量が多い場合、スクリュー回転の上限に達し、作業速度に応じた繰り出し量を得られない場合がある。
- 本ユニットは乗用型茶園管理機(寺田製作所製TW-180)に搭載できる。
具体的データ

その他
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2011~2018年度
- 研究担当者:荒木琢也、山田龍太郎、水上智道、角川修、雪丸誠一(株式会社寺田製作所)
- 発表論文等:
- 荒木ら(2020)茶研報、130:47-50
- 角川ら「茶樹用肥料散布装置」特許第6056050号(2016年12月16日)