飼料用トウモロコシの作付け拡大に向けた新しい栽培技術<​2019年度版>パンフレット

要約

飼料用トウモロコシの作付け拡大にむけた新技術を紹介するパンフレットである。耐湿性等を付与した品種育成、周年省力栽培技術、省力播種栽培に適した施肥管理技術、湿害対策技術、子実用トウモロコシ生産技術等をまとめており、全国の飼料用トウモロコシ生産者が活用できる。

  • キーワード:飼料用トウモロコシ、耐湿性品種、周年省力栽培技術、施肥管理技術、湿害対策技術、子実用トウモロコシ
  • 担当:畜産研究部門・飼料作物研究領域・栽培技術ユニット
  • 代表連絡先:
  • 分類:研究成果情報

背景・ねらい

飼料用トウモロコシは乾物収量と乾物当たりの可消化養分総量が高く、単位面積当たりのエネルギー生産性に優れた作物である。このため、飼料用トウモロコシの増産により飼料費の節減が可能となる。こうした飼料用トウモロコシの作付け拡大に向けた新技術については、これまで「飼料用トウモロコシの作付け拡大に向けた新しい栽培技術<2014年度版>」として、省力播種技術等を中心に紹介されている。その後の研究の進展により、省力播種技術の適用場面の拡大や関連する施肥管理技術が開発されたことや、従来のホールクロップサイレージ利用のみならず子実利用を目的とした栽培技術についても知見が蓄積されてきていることから、それらの新技術について、「飼料用トウモロコシの作付け拡大に向けた新しい栽培技術<2019年度版>」として取りまとめ公開する。

成果の内容・特徴

  • 本パンフレットは、1.はじめに、2.トウモロコシとは―作物の特性と上手な品種選び―、3.飼料用トウモロコシを基幹とした低コスト・周年省力栽培技術、4.不耕起・簡易耕栽培に適した施肥管理技術、5.湿害対策技術、6.子実用トウモロコシの生産・利用技術により構成される(図1)。
  • 「3.飼料用トウモロコシを基幹とした低コスト・周年省力栽培技術」では、府県における周年省力栽培技術の事例として、簡易耕・不耕起播種を活用した飼料二毛作(図2)、トウモロコシ二期作、寒冷地・浅作土条件二毛作、暖地型2年5作体系を解説している。また、トウモロコシから草地に転作する際に生じる休耕期間を活用した飼料生産のため、北海道における飼料用麦類を用いた単収向上技術として、道東地域におけるライ麦栽培技術の取り組みを紹介している。
  • 「4.不耕起・簡易耕栽培に適した施肥管理技術」では、寒冷地における飼料用トウモロコシ不耕起栽培の窒素施肥管理技術と家畜ふん堆肥利用技術、温暖地の飼料作物二毛作体系における飼料用トウモロコシの簡易耕栽培等に適した窒素施肥管理技術、暖地の飼料用トウモロコシ二期作体系における不耕起栽培に適した施肥管理技術(図3)について紹介している。
  • 「5.湿害対策技術」では、水田転換畑における主な湿害対策の紹介や、耕うん同時畝立て播種技術、耕うん同時畝立て播種と施肥を組み合わせた湿害対策技術(図4)について紹介している。
  • このほか、「2.トウモロコシとは―作物の特性と上手な品種選び―」では、飼料作物としてのトウモロコシの特性、上手な品種選び、農研機構における耐湿性飼料用トウモロコシ品種育成の試みを、「6.子実用トウモロコシの生産・利用技術」では、子実用トウモロコシの概要、生産・利用技術、および品種選定のポイントについて紹介している。

成果の活用面・留意点

具体的データ

図1 パンフレット表紙および目次,図2 周年省力栽培(飼料二毛作)における夏作と冬作の作業手順と使用機械,図3 暖地の飼料用トウモロコシ二期作体系における不耕起栽培に適した施肥管理技術(左)、並びに開発技術と従来法の年間合計乾物収量の比較(右),図4 耕うん同時畝立て播種と施肥を組み合わせた湿害対策が黄熟期のトウモロコシ乾物収量に及ぼす影響

その他

  • 予算区分:交付金、委託プロ(収益力向上)
  • 研究期間:2015~2019年度
  • 研究担当者:
    須永義人、赤松佑紀、菅野勉、玉置宏之、住田憲俊、藤竿和彦、出口新、加藤直樹、阿部佳之、森田聡一郎、折原健太郎(神奈川県畜産技術セ)、髙野浩(静岡県畜産技術研究所)、福井弘之(徳島県農林水産総合技術支援セ)、今啓人(北海道立総合研究機構畜産試験場)、角谷芳樹(北海道立総合研究機構酪農試験場)、佐藤真(岩手県農業研究セ畜産研究所)、菅原賢一(宮城県畜産試験場)
  • 発表論文等: