市販芝刈ロボットは果樹園や休耕圃場での雑草管理に利用できる
要約
市販の芝刈ロボットは、モモ、スモモ、ナシ、ブドウ、オウトウ、リンゴ、ブルーベリー、カキの果樹園の下草管理に利用でき、その際、走行の障害は簡易な方法で対策ができる。また、休耕圃場への適用では、面積あたりの推奨運転時間を確保することで、週1回作業でも雑草管理できる。
- キーワード:芝刈ロボット、除草機、雑草、果樹園、休耕地
- 担当:東北農業研究センター・農業放射線研究センター・営農再開グループ
- 代表連絡先:
- 分類:研究成果情報
背景・ねらい
市販の芝刈ロボットはエリアワイヤー範囲内で自動作業を行う装置で、農業における雑草管理に利用することで省力化が期待できる。そこで、芝刈ロボットを用いた除草試験を行い、雑草管理への応用の際に参考となる情報提供を行う。果樹園については、明渠のない平地のモモ、スモモ、ナシ、ブドウ、オウトウ、リンゴ、ブルーベリー、カキを対象とする。また、一般的には1箇所に常駐させて利用する装置であるが、1つの機体を一定期間ごとに複数の対象地間で移動させる運用を想定し、週1回作業と週3回作業による休耕圃場の雑草管理状況を示す。
成果の内容・特徴
- 芝刈ロボットとして、ハスクバーナ製A機:Automower105(仕様上の対象面積:6 a)、B機:Automower450X(50 a)、ホンダ製C機:MiimoHRM520(30 a)、D機:Miimo海外仕様機(40 a)の4機種を供試する。乗用管理機による管理作業から2~3週間程度経過した果樹園にて雑草草丈10~25 cmでの作業結果(表1)から、乗用管理機や防除機の轍などの「地面」要因による停止は樹種によらず発生するが、除草作業が可能な「地面」の状態とすることは、小型スコップでならす等、容易である(表2)。また、栽培形態により雨よけハウスや支柱があり、それらの土台や支柱、支柱筋交などへの乗上げによる停止が発生するが、乗上げる危険のある部分への接近防止のために簡易な柵を設けることによって、容易に発生を防止できる(表2)。リンゴでの試験は収穫時期で落果 (落下した果実)への乗上げによる停止が頻発したが、落果を取り除くことで作業可能となる(表1、2)。また、乗用管理機では作業が難しく、慣行では刈払機や除草剤を用いていた支柱や果樹の枝下でも作業が可能である(図1)。
- 4月上旬の雑草出芽前から11月上旬まで農研機構内の休耕圃場(福島県福島市)にて、ハスクバーナ製A機(刈高さ設定5cm)を週1回作業区と週3回作業区を設けて、面積あたり作業時間を推奨値(週あたり0.16 h/m2)にそろえて供試した結果によると、週1回作業区、週3回作業いずれも設定刈高さに雑草管理できる。従って、通常1箇所に常駐させて利用する装置であるが、1台の機体を複数圃場に適用し、それぞれ週1日以上作業させる運用でも雑草管理が可能である。両方の作業区とも、生育していた主な雑草種は同等で、メリケンカルカヤ、スズメノヒエ、シロツメクサ、ハルガヤなどである(表3)。
成果の活用面・留意点
具体的データ

その他
- 予算区分:交付金、委託プロ(営農促進)
- 研究期間:2018~2020年度
- 研究担当者:金井源太、好野奈美子
- 発表論文等:金井ら(2020)農業食料工学会誌、82:412-414