カスミカメムシ2種による斑点米被害が0.7%以下になりやすい隙間籾率の閾値の推定

要約

穂揃い期にカスミカメムシが少発生(捕虫網20回振り3.4頭以下)のとき、被害粒率が0.7%を超える確率は隙間籾率が13.3%以下の場合に10%未満、21.3%以下の場合に50%未満と推定される。出穂が遅い水田では隙間籾率が閾値以下となる可能性が高く、3等米以上になりやすい。

  • キーワード : 斑点米、隙間籾、割れ籾、アカスジカスミカメ、アカヒゲホソミドリカスミカメ
  • 担当 : 中日本農業研究センター・水田利用研究領域・作物生産システムグループ
  • 代表連絡先 :
  • 分類 : 研究成果情報

背景・ねらい

比較的冷涼な地域における主要な斑点米カメムシは、アカヒゲホソミドリカスミカメとアカスジカスミカメである。これらカスミカメムシ2種は、内外穎の僅かな裂開部から玄米を加害する。これまでに、気象条件や品種等の影響で割れ籾(籾殻の隙間を目視判定)が増加すると、幼虫の発育や被害の発生が助長されることが知られている。このことは、被害粒率が低くなる割れ籾率の閾値を推定するとともに、閾値以下になりやすい条件を見出せば、被害対策に活用できる可能性があることを示している。しかし、閾値の推定は試みられているが未だ不明である。カスミカメムシは割れ籾だけでなく、目視で判定できない僅かな隙間がある籾も加害するからである。そこで、これら二つを合わせた籾(以下、隙間籾)の割合である隙間籾率等を説明変数として含む被害発生確率の推定モデルを作成し、玄米の被害粒率が0.7%以下(3等米以上)になりやすい隙間籾率の閾値を推定する。

成果の内容・特徴

  • 被害発生確率の推定モデルとして、説明変数がカスミカメムシ2種成幼虫の捕獲数と隙間籾率、目的変数が被害粒率≦0.7%か否か(3等米以上か否か)のモデルを選択した(表1)。
  • 被害発生確率を4区分(<10%、10~50%、50~90%、>90%)に分け、検証用のデータをあてはめると(図1)、被害発生水田率は順に4.5、16.7、40、66.7%となり、<10%と10~50%の区分では、被害発生確率の推定範囲と重なり再現性は高い。
  • 穂揃い期のカスミカメムシ捕獲数が捕虫網20回振りで3.4頭(発生程度別基準で少発生となる最大値)の場合、被害粒率>0.7%となる確率が10%または50%となる隙間籾率は、約13.3%または約21.3%と推定される(図1)。
  • 調査水田を穂揃い期ごとに分けた場合、出穂が早い水田では隙間籾率が高く、被害が起きやすいが、遅い水田では隙間籾率が低く被害が起こりにくいことが期待できる(図2)。

成果の活用面・留意点

  • 栽培条件とカスミカメムシ発生履歴から被害を定量的に推定可能であり、栽培管理による翌年以降の被害対策に活用できる。
  • カスミカメムシの被害粒には、割れ籾が発生する登熟後期に主に生じる側部被害粒とその時期より前に主に生じる頂部被害粒とがある。頂部被害粒の割合が本研究(全被害粒の約10%)より高い地域では、隙間籾率の閾値が本研究より小さい可能性がある。
  • 玄米の検査規格の検査用語の解説では、部分着色粒となる着色サイズ(直径1mm以上、着色が円形以外の不整形にあっては長径に短径を加えて2で除した長さが直径)が定義されている。本研究では、定義より着色が小さい粒も被害粒としたため、解析データの被害粒率は検査規格に従った条件よりも大きい値である。
  • 隙間籾の調査に採用している染色調査法は過小評価が少ない方法であるが、過大評価の程度については明らかでない。

具体的データ

表1 被害発生確率を推定するためのロジスティックモデル,図1 カスミカメムシ捕獲数と隙間籾率、並びに表1のモデルによる被害発生確率曲線,図2 本田におけるカスミカメムシ2種成幼虫捕獲数(上段)、隙間籾率(中段)、被害粒率(下段)

その他